空き家売却で絶対損しない!補助金と3000万円特別控除をフル活用するプロの知恵

vacant_house_sales_subsidy 空き家売却の知識

実家を相続したものの住む予定もなく、毎年届く固定資産税の通知に頭を悩ませていませんか。「売却したいけれど解体費用が高すぎる」「少しでも費用を抑える方法はないか」と考えるのは当然のことです。

実は、空き家の売却において最も重要なのは、数十万円の補助金を探すことではなく、最終的に手元に残るお金が数百万円単位で変わる「税金の特例」を使いこなすことです。

この記事では、解体費用の補助金から、2024年の改正で使いやすくなった3000万円特別控除の最新要件まで、空き家をお金に変えるための最短ルートを不動産のプロが徹底的に解説します。

目次

空き家売却の補助金は「もらえる額」より「残る額」で考える

空き家を売却しようと考えたとき、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが「補助金」の存在です。行政からお金をもらって少しでも得をしたいと考えるのは自然なことですが、不動産売却の実務において、補助金だけに注目するのは賢明ではありません。

売却価格に上乗せされる補助金はほぼ存在しない現実

まず、現実を直視しましょう。「空き家を売却したから」という理由だけで、国や自治体から現金を支給される制度は、ほぼ存在しません。補助金の多くは、問題解決のための「費用」を補填する性質のものだからです。

補助金の種類 主な目的 現金支給の有無
解体費用の補助 倒壊の危険がある建物の除去 あり(工事費の一部)
改修費用の補助 移住定住促進、耐震化 あり(工事費の一部)
売却時の補助 流通促進 なし(ほぼ皆無)

このように、売却すること自体に対して補助金が出るわけではありません。したがって、これから売却益を得ようとしている人が、さらに補助金で利益を増やそうとするのは、制度の趣旨から外れているとも言えます。重要なのは「もらう」ことではなく、「出ていくお金を減らす」ことです。

解体と3000万円控除の組み合わせが最強の節税策

空き家売却において「出ていくお金」の最大手は税金です。通常、不動産を売却して利益が出ると、約20%(所有期間が5年以下の場合は約40%)の税金がかかります。しかし、相続した空き家の場合、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」いわゆる3000万円特別控除を使うことで、この税金を大幅に減らせる可能性があります。

例えば、相続した実家を売却して3000万円の利益が出たとします。通常なら約600万円もの税金がかかるところが、この特例を使えば利益が3000万円まで控除されるため、税金は0円で済みます。
さらに、解体費用に自治体の補助金(例えば100万円の工事費に対し50万円の補助)を使えれば、解体費用の持ち出しも減らせます。

つまり、「解体補助金で出費を減らし」かつ「特別控除で税金をゼロにする」という組み合わせこそが、空き家売却における最強の戦略なのです。

目先の数十万円の補助金よりも数百万円の税金対策を優先せよ

補助金には予算の上限や厳しい適用要件があり、必ずしも受給できるとは限りません。補助金の申請にこだわりすぎて売却のタイミングを逃し、結果として3000万円控除の期限(相続開始から3年後の年末)を過ぎてしまっては本末転倒です。

数十万円の補助金は魅力的ですが、数百万円単位の節税効果がある特例のほうが、資産を守る上でのインパクトは圧倒的に大きいです。まずは税制優遇の適用条件を最優先に考え、その上で補助金が使えればラッキー、くらいのスタンスで臨むのが、失敗しない空き家売却の鉄則です。

老朽化した実家の解体費用を安くする自治体の補助金活用術

空き家売却のハードルとなるのが、高額な解体費用です。木造住宅でも1坪あたり4〜5万円、高いと100万円以上かかることも珍しくありません。ここで活用したいのが、多くの自治体が設けている「老朽危険家屋解体工事補助金」などの制度です。

老朽危険家屋解体工事補助金は工事着工前の申請が鉄則

この補助金は、倒壊の恐れがある危険な空き家を除却する場合に、その費用の一部を自治体が負担してくれるものです。

  • 補助率:解体費用の1/5〜1/2程度
  • 上限額:50万円〜100万円程度(自治体による)

ここで最も重要な注意点は、契約や工事着工の前に必ず申請を行うことです。多くの自治体では、「すでに工事に着手してしまった案件」は補助の対象外となります。

「解体業者と契約して工事が始まった後に補助金の存在を知った」というケースは後を絶ちません。不動産会社に相談する段階で、解体工事の話が出たらすぐに自治体のホームページを確認するか、窓口に問い合わせる癖をつけましょう。

特定空き家に認定される前の「予備軍」判定で補助対象になる裏技

「私の実家はそこまでボロボロではないから対象外だろう」と諦めるのは早計です。自治体によっては、「特定空き家(倒壊などの危険性が高い空き家)」に指定される前の段階、いわゆる「予備軍」や「管理不全空き家」の状態でも、解体費用の助成を行っている場合があります。

また、耐震基準を満たしていない旧耐震(昭和56年5月31日以前建築)の木造住宅であれば、倒壊のリスクがあるとみなされ、耐震化を促進する目的での「除却補助」が出るケースも多くあります。外見がきれいでも、築年数だけで対象になる可能性は大いにあります。

解体すると固定資産税が上がる「1月1日の壁」に注意せよ

解体して更地にすれば売れやすくなりますが、注意すべきなのが固定資産税です。住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」により固定資産税が最大1/6に軽減されています。しかし、解体して更地にするとこの特例から外れ、税金が跳ね上がります。

固定資産税の判定基準日は毎年1月1日です。つまり、1月1日時点で建物が解体されて更地になっていると、その年の固定資産税は高くなってしまいます。

  • 理想的なスケジュール:解体工事を完了し、すぐに売却して引き渡す。または、1月1日をまたがないように売却のめどが立ってから解体する。

後述する2024年の改正により、買主への引き渡し後に解体しても特例が使えるようになったため、この「固定資産税のリスク」も回避しやすくなりました。

相続した実家を売るなら絶対に外せない3000万円特別控除(最新版)

前述した通り、これが空き家売却における最大のメリットです。正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」といいます。2024年(令和6年)の改正で非常に使いやすくなりました。

譲渡所得税が実質ゼロになる特例の凄まじい効果

通常、不動産を売った利益(譲渡所得)には約20%の税金がかかります。もし実家が買った値段よりも高く売れたり、先祖代々の土地で取得費が不明(売値の18.5%が利益とみなされる)だったりする場合、数百万円単位の税金が発生します。

しかし、この特例を使えば、譲渡所得から最高3000万円までを差し引くことができます。
(※相続人が3人以上の場合、控除額の上限は一人あたり2000万円となります)

多くの地方の実家売却であれば、売却益が3000万円を超えることは稀ですので、実質的に税金の支払いが不要になることが多いという強力な制度です。

【2024年改正】「買主による解体」でも適用OKになった!

これまでこの特例を受けるには、「売主が引き渡しまでに解体(または耐震改修)すること」が必須条件でした。しかし、解体費用の先行出費が重荷となり、利用が進まないという問題がありました。

そこで2024年の改正により、「買主が、譲渡の翌年2月15日までに解体(または耐震改修)した場合」も特例の対象となりました。

  • 改正前:売主がお金を出して更地にしてから売る必要があった。
  • 改正後:そのままで売却し、買った人があとで解体してもOK(契約書等での取り決めが必要)。

これにより、「解体費用が出せないから売れない」という売主でも、特例を使って有利に売却できるチャンスが広がりました。

タイムリミットは相続開始から3年目の12月31日まで

この特例には期限があります。「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売却しなければなりません。

相続開始日 売却期限
2023年4月1日 2026年12月31日
2024年10月1日 2027年12月31日

なお、特例自体の適用期限も2027年(令和9年)12月31日まで延長されています。「後でいいや」と放置せず、早めに動くことが重要です。

売却前のリフォームは補助金が出ても慎重に判断すべき理由

「きれいにリフォームしたほうが高く売れるのでは?」と考え、自治体のリフォーム補助金を探す方もいますが、売却目的の場合は要注意です。

自治体のリフォーム補助金は「定住」が条件の場合が多い

多くの自治体が実施している「空き家改修事業」などの補助金は、基本的に「定住促進」が目的です。つまり、「リフォームした後に、申請者自身がそこに住むこと」「特定の人に何年以上貸すこと」が条件になっていることが多いのです。

「売却するためにきれいにしたい」という所有者のためのリフォーム補助金は、実は非常に限定的です。補助金をもらってリフォームしたつもりが、住まないなら返還請求される、といったトラブルにもなりかねません。

お金をかけてリフォームしても売却価格には上乗せしにくい

仮に自己資金でリフォームしたとしても、かけた費用分だけ高く売れる保証はありません。

  • リフォーム費用:300万円
  • 売却価格アップ分:100万円

このように、費用対効果が合わないケースがほとんどです。中古住宅市場では、リフォーム済みの物件よりも、安く購入して自分好みにリノベーションしたいという層も一定数います。中途半端なリフォームは、そういった層の需要を逃すことにもなります。

買い手が自由にリノベしたい需要を潰してしまうリスク

最近は「DIY」や「フルリノベーション」が人気です。古い実家特有の「味」や「柱」を活かしたい買い手にとって、新品のクロスやありきたりなシステムキッチンは、むしろ「解体して捨てるもの」になってしまう可能性があります。

売却を前提とするなら、掃除や残置物処理(片付け)は徹底して行うべきですが、大規模なリフォームは慎重に行うべきです。補助金があるからといって安易に手を出さず、不動産会社の担当者と相談して「現況渡し」か「更地渡し」かを決めるのが賢明です。

知っている人だけが得をする「譲渡所得の100万円控除」とは

3000万円控除の要件に合わない場合でも、まだ諦めてはいけません。2020年に創設された「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」があります。

売値が500万円以下の低未利用土地等は税金が安くなる

これは、売却価格が500万円以下(一部区域では800万円以下)の土地建物を売った場合に、譲渡所得から 100万円 を控除できる制度です。

  • 田舎の空き家で、売値が安すぎて3000万円控除を使うほどでもない
  • 昭和56年以降の建物で、取り壊さずに古家付き土地として売りたい

こういったケースで非常に有効です。地方の空き家は数百万で取引されることが多いため、こちらの方が使い勝手が良い場合もあります。

田舎のボロボロの空き家でも使える可能性がある制度

この制度の適用を受けるには、市区町村から「低未利用土地等確認書」の交付を受ける必要があります。

  • 空き家バンクに登録していること
  • 宅地建物取引業者が媒介していること

などの条件はありますが、解体が必須ではないため、初期費用をかけずにそのまま売りたい人にとってはありがたい制度です。

3000万円控除と併用できないためシミュレーションが必須

重要なのは、この100万円控除と、前述の3000万円控除は併用できないということです。どちらか片方しか選べません。

  • 売却益が大きく出るなら3000万円控除
  • 売値が安く、解体費用をかけたくないなら100万円控除

ご自身の物件の状況に合わせて、どちらが得になるかをシミュレーションする必要があります。

空き家を一番高く売るための補助金・控除活用ロードマップ

最後に、空き家を売却するための具体的な手順を整理します。

まずは市区町村の空き家対策室で使える制度を洗い出す

インターネットの情報だけでなく、必ず実家がある自治体の担当窓口に行きましょう。「売却を考えているが、解体補助金や除却の制度はあるか」「特定空き家の予備軍に該当するか」を直接確認します。

最新の特例要件を確認し、売却方針(現状渡しor更地渡し)を決める

不動産会社に査定を依頼します。3000万円控除の改正により、買主が解体するケースでも特例が使えるようになったため、無理に売主側で解体する必要がない場合もあります。「現況渡し」で売値がつくのか、やはり「更地」にしたほうが良いのか、特例の要件と合わせて戦略を練りましょう。

補助金の申請から完了報告までのスケジュールを完全に把握する

補助金を利用する場合は、不動産会社と連携してスケジュールを組みます。
申請 → 交付決定 → 解体工事契約 → 工事実施 → 完了報告 → 補助金入金 → 売却決済
この流れを間違えると補助金が出ないので要注意です。

税務申告を忘れるとすべて水の泡になるので確定申告は確実に

無事に売却できても終わりではありません。3000万円控除や100万円控除を受けるためには、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告をする必要があります。これを忘れると特例は受けられず、税金がかかってしまいます。

空き家の売却は、単に買い手を見つけるだけでなく、行政の制度と税制をうまく組み合わせるパズルようなものです。この記事を参考に、使える制度をフル活用して、賢く資産を現金化してください。

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